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埼玉起業人発掘プロジェクト『羽生の起業・共創実現のためのリアル対談』開催レポート

2025年11月19日、第17弾となる埼玉起業人発掘プロジェクト『羽生の起業・共創実現のためのリアル対談』を開催しました!


第一部では、羽生の未来を切り拓く登壇者の皆さんにご登壇いただき、この地で挑戦し続ける理由や、事業に込めた想いを直接伺うことができました。
続く第二部の交流会&懇親会では、その熱気がさらに広がり、参加者同士の新しい出会いやつながりが次々と生まれる、とても活気に満ちた時間となりました!

「埼玉起業人発掘プロジェクト」とは

埼玉県内の各地域の起業家・経営者を発掘・紹介するとともに、埼玉地域起業家✕埼玉地域起業家による共創が生まれる場をつくり、広域のコミュニティを形成していくために発足したプロジェクトです!
りそなコエドテラス 3階のResona Kawagoe Base+ (以下、RKB+)にて、登壇者の皆さまと起業を考えている方やスタートアップ企業の経営者の方の活発な交流が生まれています。

当日の様子|羽生の起業・共創実現のためのリアル対談

登壇者の紹介

本日ご登壇いただいた皆さまをご紹介します。

野川染織工業株式会社 専務取締役 野川 雄気さま
Burger Big Bang pj株式会社 代表取締役 渡邉 貴広さま
結美株式会社 代表取締役 布川 麻代さま
ハイカー ROF 代表 高倉 悠祐さま
YouTuber 高倉 恵理さま

登壇者の皆さま、貴重なお話をありがとうございました!

各登壇者のプロフィールはこちら

写真:登壇者集合写真

【第一部】パネルディスカッション

各登壇者から自己紹介や事業紹介をしていただき、その後は下記のテーマに沿って、さらに活発な議論が交わされました。

ディスカッションテーマ

  • 羽生における事業創出のポテンシャル
  • 羽生の地域特性を生かした起業とは?
  • 羽生企業×スタートアップ企業との連携に学ぶ

羽生における事業創出のポテンシャル

野川さま
「羽生市には利根川が流れていて、この川は”日本三大暴れ川”と言われるくらい大きな川なんです。そのおかげで昔から土地が豊かになって、藍がよく育ち、藍染めの文化が広まっていきました。ここが、実は私たちの会社の創業ストーリーにもつながっています。
こういう“羽生ならでは”の歴史や背景をうまく活かせたら、もっと人を惹きつける面白いストーリーが作れるんじゃないかなと思っています。
それから、羽生市って青縞の野良着づくりが盛んな地域で、剣道着の生産でも全国トップクラスなんですよ。国産の剣道着が羽生でたくさん作られているって、意外と知られていないかもしれません。こういう誇れる産業があるのも、羽生の大きな魅力だと思います。」

渡邉さま
「私は羽生市で生まれ育って、18歳まで地元で過ごしたあと、しばらく県外で働いていました。でも地元に戻ってきたとき、『自分に何かできないかな?』って思うようになったんです。地域を動かすには実績とか、人を巻き込む力が必要だなって感じていたところに、ある大会で優勝することがあって、それがきっかけで羽生がそれまでにないくらい盛り上がったんですよ。それで『もっと地元のために力を使いたい!』って気持ちが一気に強くなりました。
そこで始めたのが、ハンバーガーで羽生を盛り上げる取り組みです。羽生市って人口5万人くらいで、高齢の方も多いので、日常的にハンバーガーを食べる文化ってあまりないんですよね。だから最初から”地元の人向けに”というより、”羽生に人を呼ぶ”ことをコンセプトにして、街のイメージづくりに力を入れています。観光資源が少なくてツアーが組みにくい地域なので、ハンバーガーを入口に、その先の体験まで提供できるようになればと思います。
今では、来てくださるお客さんの6割くらいが都内や県外からで、”バーガービッグバン”というプロジェクトも立ち上げました。ハンバーガーって決まりが少なくて、自分の発想でどんどん形にできる、すごく自由度の高い料理なんですよね。その魅力を生かしながら、熱意ある人がチャレンジできる場所にもしていきたいと思っています。」

布川さま
「羽生市は、埼玉県内でも特に高齢化が進んでいる地域で、2040年から2050年にかけて在宅医療のニーズがさらに高まると言われています。ところが、これまで市内には訪問看護の拠点となる施設がなく、加須市や行田市の事業所に頼らざるを得ない状況が続いていました。そうした背景もあり、私たちが施設を開設した際には、想像以上に多くの相談や依頼が寄せられ、羽生市での訪問看護の需要の大きさを改めて実感しました。
羽生市は、車でおよそ30分あればほぼ全域を回れるコンパクトな地域です。今後は訪問体制をさらに強化するため、看護師の確保と育成にも力を入れていきたいと考えています。埼玉県内にはまだ訪問看護のサービスが充分に行き届いていないエリアも多く、この分野にはまだまだ大きな可能性があると感じています。」

高倉 恵理さま
「羽生市って、生活しやすくてすごく住み心地のいいまちなんですよ。市内でイベントをやると、いろんなところから人が集まってくるのも面白いところで、地元以外から来る人が多いのが特徴なんです。
場所的にも北関東のあちこちからアクセスしやすいので、人が集まりやすい地域と言えますよね。だから羽生市はイベントとの相性がとても良くて、これからもいろんな企画をどんどん仕掛けていく価値があると思っています。」

高倉 悠祐さま
「羽生の人ってよく『羽生市には何もないよ』なんて言いますけど、実はそこが大きなチャンスでもあるんですよね。決まった枠に縛られにくいぶん、アイデアと行動力さえあれば、新しい価値をどんどん生み出せる “クリエイティブな余白” がたっぷりあるまちだと感じています。
それに、羽生市は暮らしのストレスが少ないのも魅力のひとつ。移動は車がメインですが、渋滞がほとんどないのでサッと動けて、生活にゆとりができるんです。こういう環境って、新しいことに挑戦する後押しにもなるんじゃないかなと思います。」

羽生の地域特性を生かした起業とは?

布川さま
「日本では、急性期医療から在宅医療へと医療の流れが大きく変わりつつあり、いままさに転換期を迎えています。私自身も、”自分がやりたいこと”だけではなく、”社会から本当に求められていること”に向き合う必要があると考え、この変化に合わせて不足している在宅医療を支えるため、訪問看護事業の立ち上げに取り組みました。
ところが、事業を始めて間もないタイミングで、所属していた会社がわずか半年ほどで事業撤退を決めてしまいました。看護師も揃い、地域のニーズも確かにある中での撤退は、地域にとっても利用者にとっても大きな損失になると感じました。そこで私は、スピンアウトという形で独立し、法人化を決断することにしました。日本政策金融公庫や金融機関からの融資に加え、自己資金も組み合わせ、改めて事業をスタートさせました。
その後は順調に成長を重ね、1年半ほどで黒字化を達成。今では安定してご依頼をいただける体制になっています。」

渡邉さま
「私はハンバーガーを通して、羽生市の魅力をもっと発信していきたいと思っています。その柱のひとつが”地産地消”です。羽生産の野菜や豚肉を使ったハンバーガーを提供しているのですが、実は”羽生産の〜”って、市外はもちろん、市内でもあまり耳にしないんですよね。そこで東京のハンバーガー店にも羽生の食材を紹介して、実際に使ってもらうことで、羽生のブランド価値を広げる取り組みも進めています。
羽生には、良質な野菜や豚肉、お米など魅力的な食材がたくさんあります。でも、市内に住んでいる人でも、その良さを意外と知らないことがあるんです。そこで、生産者さん自身がハンバーガーづくりに関わる”羽生バーガー会”を立ち上げました。一緒にイベントを企画して、羽生の人たちが地元の良さを再発見し、自分たちの言葉で発信できるような循環をつくりたいと思っています。
実際に、僕が紹介した羽生産の豚肉を使った事業者さんがコンテストで優勝し、そのおかげで生産者である豚肉店にも大きな反響がありました。こうした形で、地域の人と人をつなぐ“橋渡し役”として、ハンバーガーを通して羽生市の価値をもっと広げていきたいと考えています。」

高倉悠祐さま、高倉恵理さま
「羽生市を歩いていると、”ミシン”や”縫製”、”ユニフォーム”といった看板をよく見かけます。実は羽生は、昔は縫製業がとても盛んな地域で、”縫製の町”としての歴史が今も色濃く残っているんです。もし、地域に眠っているミシンをもう一度活かして、アウトドアウェアなど“メイドイン羽生”の新しいプロダクトづくりができたら、きっと大きな力になるし、地域の新しい価値につながるはずだと感じています。
それから、羽生市は”ゆるキャラのまち”としても有名で、日本一とも言われるほどゆるキャラの数が多く、なんと7体もいます。毎年行われている”世界キャラクターさみっと in 羽生”は市を代表するイベントで、今年は市役所と平和公園をつなぐ形で開催されたことでアクセスも良くなり、たくさんの人でにぎわいました。
こうした地域資源には、まだまだ活かしきれていない魅力やヒントがたくさん眠っていると感じています。もし活用の仕方次第で、もっと面白い展開ができるんじゃないかと思っています。」

羽生企業×スタートアップ企業との連携に学ぶ

野川さま
「当社は羽生市で長く事業を続けてきた老舗企業ですが、自分たちだけでは届かなかったチャネルを通じて情報発信してもらえることに、本当にありがたさを感じています。羽生市内の縫製事業者の多くは、自社ブランドを立ち上げる余裕がないのが現状です。そんな中で活動を続けていると、『藍染の会社がここまで市民に寄り添って動いてくれるとは思わなかった』という声をいただくこともあり、私たち自身、地域への向き合い方を考えるきっかけにもなりました。
例えば、市内の事業者同士が連携して、同じ藍染アイテムを身につければ、外から見たときに一体感が生まれ、地域の魅力発信にもつながります。実際に、市内の歯科医院向けにオリジナルスクラブを制作したり、イベント用ののぼりを作ったりと、少しずつ広がりが出ています。また、セレクトショップとのコラボなど新たな動きも生まれ、藍染の可能性はさらに広がっていると感じています。

企業との連携においては、私たちのものづくりの現場を実際に見てもらい、そこにある地元の歴史や職人の思いを感じてもらうことを大事にしています。」

渡邉さま
「ハンバーガーコンテストの上位には北関東の店舗が多く入っていますが、実は都内からわざわざ足を運んでもらう動機付けが弱く、ハンバーガーのおいしさだけでは来店につながりにくいのが現状です。だからこそ、多くの店が自分たちの実力を示す手段として大会に挑戦している、という背景があります。

そこで私たちは、北関東エリア全体を”ハンバーガーの地域”として盛り上げる取り組みを進めています。10月からは北関東の店舗同士でコラボする新企画もスタートしました。今後は、羽生の特産品とも組み合わせながら、“地域の魅力 × ハンバーガー文化”という新しい価値をつくり、もっと多くの人が訪れたくなる流れを生み出していきたいと考えています。」

布川さま
「偏平足や歩行の悩みに対応し、健康寿命を延ばすことを目的に、4年前からインソール事業に取り組み始めました。日本では足の治療分野が遅れており、特に市場には柔らかいタイプのインソールが多く出回っていて、足をしっかり支えてホールドする製品が少ないのが実情です。こうした課題を解決するため、専門性を高めるべく別法人を立ち上げ、本格的に事業を展開しています。」

高倉悠祐さま、高倉恵理さま
「私たちの強みは”発信力”で、“インフルエンサー”のような存在として見られています。自分たちの価値観やスタイルに合う取り組みであれば、情報発信を通じて広く周知するお手伝いができます。アウトドアの楽しみ方や、新しいチャレンジ、日常に役立つアイテムなどを紹介しながら、地域の魅力をより多くの人に届けてきました。

最近はサングラスの着用を推奨する流れも出てきており、紫外線から目を守るための取り組みとして、警察官や学校関係者、工事業者、配送業者など、さまざまな方々と連携できる可能性も感じています。」

参加者の声

「本当良かったよ、毎回面白い人もいるし、投資会社だからやっぱりビジネスの中身の具体的な話や今後の展開に興味が湧くよ」

運営サイドのコメント

100年以上前に創業し、藍の「天然発酵建て・先染め」という武州の伝統を守ってきた野川さんと、これから機能性を持ったアウトドアウェアを開発していく高倉さんがどこか新旧のビジネスがオーバーラップしている印象を受けました。地域をサステナブルなものにするには、同じ領域の新旧プレイヤーが交わることで、イノベーションや新事業に繋がっていくのだと実感しました。

【第二部】交流会・懇親会

第二部の交流会&懇親会では、登壇者と参加者が垣根なく交わり、にぎやかな盛り上がりを見せました。会場のあちこちで、熱い議論から笑顔あふれる会話までが生まれ、終始あたたかい雰囲気に包まれていました。登壇者と直接話したことで、「自分も挑戦したい!」と前向きな気持ちになられた方も多かったのではないかと思います。
これからも、挑戦する仲間たちが出会い、互いに刺激し合いながら成長できる場づくりを続けていきます!

これから起業を考える方へ

起業には必ず失敗のリスクが伴います。起業を成功に導くには、起業を経験した人や事業を営む人の”生”の情報を得ることが大切です。起業家の”生”の声を聞かずに起業するなんて、自ら失敗の道を進んでいるようなもの・・・
RKB+の起業家ネットワークには、失敗のリスクを下げ、成功確率を上げるヒントが詰まっています。起業を志す方や漠然と起業を考えている方も、ぜひRKB+にお越しください。まずはイベントの参加または施設の見学を!

まとめ

羽生での起業・事業創出の可能性や起業家の皆さまの熱量が伝わりましたでしょうか?

これからも、埼玉県内の各地域の起業家とともに埼玉起業人発掘プロジェクトを開催していきます。その他にも、起業家向けセミナーやネットワーキングイベント、ビジネスコンテストなど、様々なイベントを開催していますので、ぜひホームページをチェックしてください。RKB+ の会員さまはもちろん、非会員の方もウエルカムです!

一緒に埼玉県を盛り上げていきましょう!

【参考】羽生市の概要

「そもそも、羽生市ってどんなところ?」と思われた方に向けて、羽生市の基本情報やビジネス環境をご紹介します。「羽生市で起業するのもアリだな」と感じていただけたら幸いです。

羽生市の基本情報

羽生市は、埼玉県の北東部に位置し、都心から約60km、さいたま市から約40kmの距離にある、自然と暮らしのバランスがとれたまちです。市の面積は約58.6 km²で、東西約10.25km、南北約6.7kmと、ほどよくまとまった市域を有しています。
2025年11月1日時点の人口は約53,500人、世帯数は約25,300世帯です。近年は、世帯数はやや増加傾向にあるものの、総人口はゆるやかに減少しており、高齢化や出生数低下という全国的な傾向を踏まえた人口構造の変化が見られます。
市内には、広大な水と緑に囲まれた羽生水郷公園があり、中央広場や湿地、水生植物園、花菖蒲園などが四季折々の自然を楽しませてくれます。さらに公園内には、県内の淡水魚を中心に約70種類を展示するさいたま水族館もあり、子どもから大人まで水の生き物に親しむことができます。

また、羽生市には古墳時代の名残を伝える古墳群も点在し、なかでも永明寺古墳は文化財としても知られ、地域の歴史を感じさせる場所のひとつです。
伝統や地場産業も息づいており、かつてからの染物として知られる武州正藍染は現在も市の伝統文化として受け継がれています。また、地元で育てられる農産物や特産品、そして地域の伝統と暮らしの風土が、羽生らしさを育んでいます。

出所:RESAS(地域経済分析システム)

羽生市のビジネス環境

羽生市の経済を付加価値額で見ると、「製造業」「医療,福祉」が中心となっています。

【交通・インフラ】
羽生市は、市内に東武伊勢崎線(東武スカイツリーライン)と秩父鉄道が通っており、羽生駅・南羽生駅・新郷駅などが地域の主要な交通拠点となっています。これにより、久喜・春日部方面、熊谷方面への鉄道アクセスが良好で、通勤・通学の利便性が確保されています。
道路交通面では、国道122号・125号や県道84号など主要幹線が市内を縦横に走り、広域的な移動を支えています。さらに、市内には東北自動車道の羽生インターチェンジが設置されており、東京方面や北関東方面へのアクセスがスムーズです。隣接する羽生パーキングエリアには「鬼平江戸処」が併設され、観光交流の拠点としてもにぎわいを見せています。これらの道路網の充実により、物流や企業活動の活性化にも寄与し、地域産業の発展が期待されています。

羽生市で起業するなら

羽生市では、市内で創業を目指す人を支援するため、羽生市商工会や埼玉県産業振興公社と連携し、「特定創業支援等事業」を実施しています。創業相談や入門セミナーを通じて、事業計画づくりや資金調達、販路開拓など創業に必要な基礎知識を学ぶことができます。講座修了者には市より証明書が交付され、登録免許税の軽減や創業関連保証の特例といった国の優遇措置を受けられる点も大きなメリットです。

また、市独自の「創業支援事業補助金」により、設備費や広報費など開業に伴う経費の一部が補助され、初期負担の軽減にもつながっています。このように羽生市は、創業準備から開業後の支援まで一体的な環境を整え、新たな事業への挑戦を後押ししています。

もちろん、RKB+においても、様々なバックグランドを持つコミュニティマネージャーが起業家の皆さまをサポートしますので、何なりとご相談ください。