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埼玉起業人発掘プロジェクト『川島の起業・共創実現のためのリアル対談』開催レポート

2025年10月22日、第16弾となる埼玉起業人発掘プロジェクト『川島の起業・共創実現のためのリアル対談』を開催しました!

第一部では、川島の未来を切り拓く登壇者の皆さんにご登壇いただき、この地で挑戦し続ける理由や、事業に込めた想いを直接伺うことができました。
続く第二部の交流会&懇親会では、その熱気がさらに広がり、参加者同士の新しい出会いやつながりが次々と生まれる、とても活気に満ちた時間となりました!

「埼玉起業人発掘プロジェクト」とは

埼玉県内の各地域の起業家・経営者を発掘・紹介するとともに、埼玉地域起業家✕埼玉地域起業家による共創が生まれる場をつくり、広域のコミュニティを形成していくために発足したプロジェクトです!
りそなコエドテラス 3階のResona Kawagoe Base+ (以下、RKB+)にて、登壇者の皆さまと起業を考えている方やスタートアップ企業の経営者の方の活発な交流が生まれています。

当日の様子|川島の起業・共創実現のためのリアル対談

登壇者の紹介

本日ご登壇いただいた皆さまをご紹介します。

一般社団法人さまちか 事務局長 加藤 恭平さま
一般社団法人さまちか/川島町地域おこし協力隊 柳 俊夫さま
合同会社アトリエモモ 代表/川島町地域おこし協力隊 片桐 聡美さま
Bright light 代表 片桐 賢久さま
笛木醤油株式会社 代表取締役社長 笛木 吉五郎さま

登壇者の皆さま、貴重なお話をありがとうございました!

各登壇者のプロフィールはこちら

写真:登壇者集合写真

【第一部】パネルディスカッション

各登壇者から自己紹介や事業紹介をしていただき、その後は下記のテーマに沿って、さらに活発な議論が交わされました。

ディスカッションテーマ

  • 川島における事業創出のポテンシャル
  • 川島の地域特性を生かした起業とは?
  • 川島企業×スタートアップ企業との連携に学ぶ

川島における事業創出のポテンシャル

加藤さま
「川島町はまだ競合が少ないから、何か新しいことを始めるにはすごくいい場所だと思うんです。もちろんメリットもデメリットもあるとは思いますが、その分チャンスも大きいというか。最近はおしゃれなカフェも増えてきていて、少しずつ雰囲気が変わってきてる感じがします。」

片桐賢久さま
「埼玉県の中でも、川島町ってまだ知名度が高いわけじゃないんですよね。その理由の一つは、やっぱり“駅がない“ことが大きいんじゃないかと思っています。
でも、逆に言うと“認知されていない=伸びしろしかない”ってことでもあるんです。観光系の映像に関わっている中で感じるのは、知られていない場所ほど、しっかり掘り下げて発信すれば一気に伸びていく可能性があるってこと。
川島町は“川に囲まれた島”という、他にはないユニークな特徴があります。その強みをもっとアピールできれば、川島の面白さや魅力がぐっと広がっていくと思います。」

片桐聡美さま
「今は山形との二拠点生活をしていて、山形から車で川島に来ています。自宅は川島インターの近くなので、移動はすごく便利なんですよね。
川島は車でのアクセスがかなり良いので、その強みをもっと深掘りしていけば、魅力として大きく打ち出せるんじゃないかと思っています。」

笛木さま
「川島町の魅力って、やっぱり立地の良さだと思います。金笛しょうゆパークをオープンしたんですが、アクセスの良さがすごく強みなんですよね。圏央道が開通したことで、自動車で1時間以内に川越市やさいたま市など、いろんな場所へ行けるようになりました。金笛しょうゆパークの商圏として考えると最高のエリアです。
さらに、水がきれいなのも川島の大きな魅力のひとつです。」

柳さま
「川島町は交通の便が良い方だと思います。全国的に見ると、もっと不便な地域はたくさんありますし、さいたま市と比べると不便に感じるかもしれませんが、事業の面で考えると特にマイナスではないんですよね。
それに東京だと、ちょっとした移動でも駐車場代がかかったりしますが、川島ならその心配も少ない。そう考えると、むしろ事業をしやすい環境なんじゃないかと思います。」

川島の地域特性を生かした起業とは?

柳さま
「”さまちか”が食品加工所を承継しました。直売所は朝5時、9時にオープンして16時には閉店という、いわゆる“地域の生活スタイルに合わせた営業”が続いています。
その仕組みや文化をどう引き継ぎ、どうアップデートしていくか。機械化や省力化、さらには商圏を広げていくなど、いろんな取り組みを進めていますが、ここに新しいアイデアや仕組みを掛け合わせることで、川島らしい起業の形が生まれるんじゃないかと思います。」

片桐聡美さま
「川島の大きなメリットって、“土地があること”なんですよね。
たとえば花屋さんでも、仕入れたものを扱うだけじゃなくて、自社の小さな農園を持つこともできる。空いている土地を使わせてもらって、気軽に事業を始められる環境があるので、最初から大きな土地を購入しなくてもチャレンジできるところが魅力だと思います。」

笛木さま
「川島のポテンシャルを活かして起業するなら、”食”に関わるビジネスはかなりチャンスがあると思います。ただ、川島町自体は大きな予算があるわけではないので、誰と組むかが成功のカギになってきます。他の自治体や事業者とうまく連携していけばチャンスは広がるかなと。”ない”からこそ生まれるビジネスもあると思います。
そもそも埼玉県って魅力度ランキングが低めで、その中でも川島町はまだまだ知られていない存在なんですよね。でも逆に言えば、”知られれば一気に目立てる”ということでもあるんです。
だからこそ、金笛しょうゆパークをオープンするにあたって“工場見学者数“で日本一を目指すと決めました。工場見学者数なら、きちんと数値化できるし、競争もしやすい。”美味しさ”は客観的に比較しにくいけれど、見学者数なら日本一を狙えるんじゃないかと思っています。」

会話が深まる中で、笛木さまのマネジメントスタイルに関する話題にも及びました。

笛木さま
「会社の運営において、トップダウンとボトムアップの両方が大事だと考えています。 社長の意思や方針がある一方で、それを現場で実現してくれる社員の存在があってこそ、事業は前に進みます。バームクーヘンやうどんを実際に作ってくれる人がいるからこそ、私たちの取り組みは形になるんです。
『やりたい!』という気持ちを持った人が実行できる環境をつくりたい。 その原動力は『人を喜ばせたい』という思い。小さくても成功体験を積み重ね、3年間で結果を出していくことを意識しています。
採用面では、鶴ヶ島・東松山・川越から通いやすい立地なので人材は集まりやすいのですが、一方で周辺には物流拠点も多くあり、時給が高くて業務がシンプルな職場と競合する面もあります。
とはいえ、私たちの事業は複合的で難しい分、やりがいがありますし、お客さまの笑顔が直接見られる。だからこそ優秀な人材が残ってくれると感じています。勤続年数や経歴より、価値観が合っているかを重視しています。実際、パートの中にもバームクーヘン製造の責任者を務める優秀な人がいるほどです。
そして基準は、常に優秀な人に合わせることを大切にしています。優秀な人にはいくつかタイプがありますが、特に”0→1”を生み出せる人は希少な存在。それ以外にも、オペレーションに徹底的に強い人など、それぞれの特長を活かすマネジメントが必要です。」

川島企業×スタートアップ企業との連携に学ぶ

片桐聡美さま
「いろいろな人と関わっている中で、言語が通じないような感覚になることがあります。アート志向やクリエイティブ志向で話しているつもりでも、『あれ、伝わってないな…』と感じる瞬間があるんですよね。色や形といったビジュアルの捉え方が違ったり、思考回路がかみ合わなかったり。
だからこそ、感性が近い人と一緒に仕事ができるといいなと思っています。企業でも個人でも、前向きに、建設的に意見交換できる相手とつながりたいです。
また、古民家の利活用を通じてコミュニティをつくることにも興味があります。そういった場を生みながら、人とつながり、一緒に面白いことができたらと。地元の方々の意見調整が必要なので、みなさんの意見を理解しながら進めていければと思います。
新しい事業を始める人は、まず“さまちか”に相談するので、“さまちか”がまさにそんな機能を担ってくれる存在になってきているのかな、と感じています。」

片桐賢久さま
「自分と近い考え方や感覚を持っている人とつながりたいと思っています。これまでにも、映像制作に取り組んでいる方と協業して作品を作ったことがあるんですが、共通した感性を持つ人と一緒に仕事ができると、本当に心強いんですよね。」

加藤さま
「川島町は、まだ他の市町村との連携意識があまり強くないところがあります。 お土産の種類も少なくて、川島だけで全部を完結させようとすると、どうしても難しくなるんですよね。だからこそ、どこかと組んでいく必要があると感じています。たとえば「甘酒」なら、原材料は川島産、製造は町外の酒蔵——そんな形で連携できるとお互いにメリットがあります。大事なのは、川島町としての方向性をきちんと示して、その想いに共感してくれる事業者さんとつながること。
役場としてはどうしても他の市町村と連携しづらい部分がありますが、“さまちか”としては、その垣根を越えて連携の幅を広げていくことが大切だと思っています。」

笛木さま
「うちは醤油メーカーなので、せんべいや和菓子など、いろんな商品に醤油を使ってもらいたいと思っています。もっと幅広いジャンルとコラボできたらいいですよね。
それと、サンフランシスコに行ったときに無人タクシーを見て衝撃を受けました。川島町は交通の課題があるので、いつか無人タクシーが街を走るようになったら、すごく便利になるんじゃないかなと期待しています。」

柳さま
「観光分野をもっと立ち上げていきたいと思っています。地域限定の旅行業者として、隣接する自治体と連携したツアーを企画していきたいんです。たとえば、川越や東松山、坂戸などへのツアーを川島を起点にして展開できたら、移動も便利だし、川島の新しい魅力にもつながるはず。
サステナブルな観光を目指しながら、地域全体が元気になるような仕組みをつくっていきたいですね。」

【第二部】交流会・懇親会

第二部の交流会&懇親会では、登壇者と参加者が垣根なく交わり、にぎやかな盛り上がりを見せました。会場のあちこちで、熱い議論から笑顔あふれる会話までが生まれ、終始あたたかい雰囲気に包まれていました。登壇者と直接話したことで、「自分も挑戦したい!」と前向きな気持ちになられた方も多かったのではないかと思います。
これからも、挑戦する仲間たちが出会い、互いに刺激し合いながら成長できる場づくりを続けていきます!

これから起業を考える方へ

起業には必ず失敗のリスクが伴います。起業を成功に導くには、起業を経験した人や事業を営む人の”生”の情報を得ることが大切です。起業家の”生”の声を聞かずに起業するなんて、自ら失敗の道を進んでいるようなもの・・・
RKB+の起業家ネットワークには、失敗のリスクを下げ、成功確率を上げるヒントが詰まっています。起業を志す方や漠然と起業を考えている方も、ぜひRKB+にお越しください。まずはイベントの参加または施設の見学を!

まとめ

川島での起業・事業創出の可能性や起業家の皆さまの熱量が伝わりましたでしょうか?

これからも、埼玉県内の各地域の起業家とともに埼玉起業人発掘プロジェクトを開催していきます。その他にも、起業家向けセミナーやネットワーキングイベント、ビジネスコンテストなど、様々なイベントを開催していますので、ぜひホームページをチェックしてください。RKB+ の会員さまはもちろん、非会員の方もウエルカムです!

一緒に埼玉県を盛り上げていきましょう!

【参考】川島町の概要

「そもそも、川島町ってどんなところ?」と思われた方に向けて、川島町の基本情報やビジネス環境をご紹介します。「川島で起業するのもアリだな」と感じていただけたら幸いです。

川島町の基本情報

川島町は、埼玉県のほぼ中央部に位置し、川越市、吉見町、東松山市、坂戸市、上尾市などに隣接する水と緑のまちです。2025年10月現在、人口は約18,900人、世帯数はおよそ8,400世帯です(川島町HP)。町の周囲を入間川、越辺川(おっぺがわ)、市野川、荒川などの河川が囲み、「川に囲まれた島のような町」として知られています。豊かな自然と肥沃な土地に恵まれ、古くから農業が盛んな地域です。

町内には、広大な芝生広場やバラ園を備えた「平成の森公園」など、家族で楽しめる憩いの場が整備されています。また、特産品として「いちじく」「いちご」「トマト」などの農産物が人気で、直売所では季節ごとの新鮮な味覚を味わうことができます。地域のイベントとしては、「川島町産業まつり」などが開催され、地元の特産品や文化に親しむことができます。
交通面では町内に鉄道駅はありませんが、東武東上線・JR川越線の川越駅や桶川駅へのアクセスが良く、路線バスや自動車での移動が中心です。圏央道(首都圏中央連絡自動車道)の川島インターチェンジが開通したことで、都心や近隣都市への交通利便性も大きく向上しています。
自然と農のある暮らし、そして地域の温かなつながりが息づく川島町は、ゆったりとした時間が流れる心安らぐまちとして親しまれています。

出所:RESAS(地域経済分析システム)

川島町のビジネス環境

川島町の経済を付加価値額で見ると、「製造業」「卸売業,小売業」が中心となっています。

【交通・インフラ】
川島町は、町内に鉄道路線はありませんが、川越市や桶川市など近隣の駅へ接続する路線バスが運行されており、通勤・通学の利便性を確保しています。また、町内ではコミュニティ交通「かわみんタクシー」も運行され、高齢者を含む住民の移動を支えています。
道路交通面では、国道254号や県道12号などの主要幹線が町内を通り、圏央道(首都圏中央連絡自動車道)の川島インターチェンジも設置されています。これにより、関越自動車道や中央自動車道への連絡がスムーズとなり、埼玉県内各地や首都圏主要都市への移動・物流アクセスが大きく向上しました。圏央道沿線には物流施設や工場の立地も進み、産業面での発展が期待されています。
このように、川島町は鉄道駅こそないものの、道路交通網の充実と地域交通の工夫により、暮らしや産業の両面で利便性の高い環境を備えています。自然と調和した住みよいまちとして、今後もさらなるインフラ整備が進められています。

川島町で起業するなら

川島町では、町内で新たに事業を始める方を支援するため、川島町商工会および 埼玉県産業振興公社(創業・ベンチャー支援センター埼玉)を創業支援事業者として位置づけ、「特定創業支援等事業」による支援体制を整えています。
具体的には、町内で創業を目指す方に対して

・創業相談窓口や創業入門セミナーを無料で開催し、ビジネスプラン作成・資金調達・販路開拓などの基礎的な支援を行っています。
・「特定創業支援等事業」を受講・修了した方には、町発行の証明書を交付し、その証明書を活用することで、会社設立時の登録免許税の軽減や創業関連保証の特例無担保・第三者保証人なしの制度活用などの優遇措置が受けられます。

また、町では産業用地の確保や企業立地の促進にも力を入れており、町東部には製造業等を対象とする「産業系12号区域」が指定されており、創業・事業拡大に適した環境が整っています。
もちろん、RKB+においても、様々なバックグランドを持つコミュニティマネージャーが起業家の皆さまをサポートしますので、何なりとご相談ください。